絵本学会

[第5回]絵本学会大会

絵本学会2002年度総会は、2002年6月29日神戸ファッション美術館(兵庫県神戸市)で開催されました。2001年度活動報告ならびに2002年度活動計画が報告されました。
 
[テーマ]絵本はコラボレーションの場
[期間]2002年6月29日(土)、30日(日)
[会場]神戸ファッション美術館
    〒658-0032 神戸市東灘区向洋町中2-9-1 078-858-0050
    http://www.kfp.co.jp/
[主催]絵本学会
[共催]神戸ファッション美術館
[後援]神戸市教育委員会、社団法人神戸市私立幼稚園連盟
 
●大会1日目 6/29
13:00 受付開始
13:40 開会式
 
14:00 第1部 記念鼎談  [元永定正+中辻悦子+谷川俊太郎]
15:10 第2部 フォーラム [元永定正+中辻悦子+谷川俊太郎]
16:30 サイン会
16:40 総会受付
17:00 2002年度絵本学会総会
18:00 総会終了
19:00 懇親会
20:30 懇親会終了
 
●大会2日目 6/30
9:00  受付開始
9:20  研究発表+作品発表
12:00 昼食休憩
13:00 ラウンドテーブル(分科会)開始
     ■R1絵本表現研究 [絵本と漫画の境界]        
      コーディネーター:笹本 純(筑波大学) 
      話題提供者:佐々木マキ(絵本作家)
            村上知彦(まんが評論家)                              
     ■ R2本作家研究 [太田大八の絵本] 
      コーディネーター:澤田精一(福音館書店)
      話題提供者:太田大八(絵本作家)ほか
 
     ■ R3絵本受容研究 [絵本とコミュニケーション]  
      コーディネーター:佐々木宏子(鳴門教育大学)
      話題提供者:村中李衣(作家・梅光女学院短大)
            岩田美津子(点訳絵本ふれあい文庫)      
14:50 ワークショップ
     ■ W1 [絵本制作公開講座]   
      講師:小野明(デザイナー・絵本編集者)
         土井章史(絵本編集者・トムズボックス主催)
     ■ W2 [点訳絵本をつくってみよう]
      岩田美津子とふれあい文庫の仲間たち 
16:50 閉会式
 
●ギャラリー展示
6/29 13:00~18:00 6/30 9:00~17:00
・作品発表 応募作品
・絵本製作コース学生作品
・バリアフリー絵本「みんなで読もう遊ぼう楽しもう!」

大会報告

第5回絵本学会大会実行委員会 香曽我部秀幸
 

第5回絵本学会大会が、去る6月29日(土)と30日(日)の二日間、神戸ファッション美術館において開催されました。
 
会場となった神戸ファッション美術館は、1997年、世界でも珍しいファッションを専門に扱う美術館として神戸市の人工島六甲アイランドに開設された真新しい複合情報文化施設です。今回の大会は、日ごろはファッションショウなどが開かれる「オルビスホール」の斬新な舞台空間をメイン会場に、「ギャラリー」や「セミナー室」等を使って、絵本作品の展示、初日の記念鼎談、総会、懇親会、二日目の研究発表、作品発表、ラウンドテーブル、ワークショップ、ゲスト作家の絵本頒布およびサイン会など、多彩なプログラムが組まれ、有料参加者数399名、二日間でのべ600名を上回る方々の参加が得られました。
 
初日はまず、記念鼎談が「"絵本はコラボレーションの場。"-いろ・かたち・おと・ことば-」と題し、現代アーティスト・絵本作家の元永定正・中辻悦子夫妻、詩人・絵本作家の谷川俊太郎氏の三人をゲストに迎えて行われました。続いて2002年度総会が開かれた後、会場をホテルプラザ神戸に移して懇親会が開かれました。二日目午前の研究発表では12組14名、作品発表では11名の発表があり、同日午後には、R1[絵本表現研究-絵本とマンガの間]、R2[絵本作家研究-太田大八の絵本]、R3[絵本受容研究- 絵本とコミュニケーション]の三つのラウンドテーブルが開かれました。さらに続けてワークショップとして、W1「絵本制作公開講座」が小野明氏(デザイナー・絵本編集者)・土井章史氏(絵本編集者・トムズボックス主宰)を特別講師に迎えて開かれ、同時にW2「点訳絵本を作ってみよう!」が岩田美津子氏とふれあい文庫のスタッフの方々によって行われました。
 
ギャラリーでは、二日間を通して、「作品発表」応募作品 11点のほか、岩田美津子氏とJBBY提供による多種の「バリアフリー絵本」(点訳絵本・触る絵本・布の絵本など)、および京都造形芸術大学情報デザインコース・梅花女子大学児童文学科絵本制作講座の学生たちの絵本作品計25冊が展示され、参加者の興味を惹きました。カウントはされませんでしたが、大会には参加されていない一般の観客もかなりの数に上ったようです。
 
1997年の学会設立以来はや6年、第5回目を数えることとなった今回の大会では、テーマに"絵本はコラボレーションの場"が掲げられました。三宅会長がプログラムの序言で述べられているように、当学会では、絵本を重要なコミュニケーション・アートの一種と位置付け、会員各自がそれぞれに異なった観点から多様な意識で絵本を論じ合い、その表現と受容の世界を広げる場として、毎年のこの大会があることは、会員共通の認識になっていると思われます。その色々な意味でのコラボレーションのための仕掛けが、二日間にわたって用意されました。