絵本学会

[第4回]絵本学会大会

第4回絵本学会大会は、2001年5月4日(金)・5日(土)の2日間フェリス女学院大学(神奈川県横浜市)で開催されました。
 
[テーマ]絵本とおとな・絵本とこども
[期間]2001年5月4日(金)5日(土)
[会場]フェリス女学院大学
    〒245-0002 神奈川県横浜市泉区緑園4-5-3
    フェリス女学院大学緑園校舎(文学部棟)
 
●大会1日目 5/4 
13:30 開会式
14:00 基調講演
     「絵本とおとな・絵本とこども」 西巻茅子(絵本作家)
15:30 シンポジウム「世代を越える絵本-絵本のヤングアダルト現象」
      シンポジスト:赤木かん子(児童文学研究者)
             飯野和好(絵本作家)
             松井英夫(ほるぷ出版社)
          司会:佐々木宏子(鳴門教育大学)
17:30 絵本学会2001年度総会受付
18:00 絵本学会2001年度総会
19:00 交流会
 
●大会2日目 5/5
9:00  研究発表・作品発表
12:00 研究発表終了
13:00 講演
    「英国の絵本研究者と絵本研究方法」
     講師:ビクター・ワトソン(前英国ケンブリッジ大学ホトマン校教授)
     通訳:田中美保子(翻訳家)
14:45 ラウンドテーブル(分科会)
     ■R1絵本作家研究:赤羽末吉
     コーディネーター:藤本朝巳(フェリス女学院大学)
     話題提供者:赤羽研三(赤羽末吉 三男)
           上島史子(安曇野ちひろ美術館)
     ■R2絵本表現研究:“もの”としての絵本
     コーディネーター:今井良朗(武蔵野美術大学)
     話題提供者:杉浦範茂(グラフィックデザイナー)
           松本猛(安曇野ちひろ美術館)
     ■R3絵本読者研究:赤ちゃんと絵本 日本版ブックスタートを事例として
     コーディネーター:生田美秋(世田谷文学館)
     話題提供者:佐藤いづみ(「子ども読書年」推進会議)
           佐々木宏子(鳴門教育大学)
16:30 ラウンドテーブル(分科会)終了
13:00 ワークショップ ビバ!お化けーしょん
     担当:笠尾敦司(東京工芸大学)
        石井光恵(日本女子大学)
16:30 ワークショップ終了
17:00 閉会式

大会報告

第4回絵本学会大会実行委員長 藤本朝巳

 
 2001年5月4日(金),5日(土)、横浜市泉区緑園都市にあるフェリス女学院大学、緑園校舎を会場として、第4回、絵本学会大会が「絵本とおとな・絵本とこども」というテーマで開催されました。今回は例年より一ヵ月早い時期に行いましたので、慌ただしい準備に追われた大会でしたが、盛況のうちに無事終えることができまして、関係の方々、またお手伝い下さった方々には心より感謝申し上げます。
 大会初日は、350名収容のグリーンホールにて、学会会長、三宅興子先生の開会宣言、フェリス女学院大学、佐竹明学長の挨拶にはじまり、プログラムは順調に進みました。基調講演は、鎌倉在住の絵本作家、西巻茅子さんに、「絵本とおとな・絵本とこども」と題して講演していただきました(内容については、講演内容をご覧ください)。西巻さんは、講演の後も、一般の方々へのサイン会のために2時間以上もお待ちいただき、ありがとうございました。
 続くてシンポジウムでは、児童文学研究者、赤木かん子さん、絵本作家の飯野和好さん、ほるぷ出版社の松井英夫さんに、それぞれ違った立場から「世代を越える絵本?絵本のヤングアダルト現象?」と題して話し合っていただきました。学会運営委員の佐々木宏子さんの司会のもと、さまざまな意見も出て、楽しいひとときとなりました。
 夕方より、2001年度総会が行われ、式次第通り、事業報告、会計(決算、予算)、事業計画、その他を審議し、承認いたしました。その後、大学食堂にて、大勢の参加のもと、交流会を行いました。関係者、参加者よりの楽しい挨拶などもあり、楽しく親しく終えることができました。なお、地方からの参加者は、大学近辺の藤沢市湘南台のホテルに一泊し、遅くまで交流会もおこなわれたようです。
 大会2日目は、9時より、二会場に別れて研究発表が行われました。A室(キダーホール緑園)は運営委員の香曽我部秀幸さんの司会のもと、村川京子さんの「近代日本の0・1・2歳児の絵本の変遷」、米谷茂則さんの「戦後の小学校低学年児童は、どのような絵本を読みついできたのか」、鳥越信さんの「戦後初期の絵本(1945?60年)」、柴村紀代さんの「『こどものせかい』について」、大橋眞由美さんの「金井信生堂刊行絵本『コドモノチカヒ』に見る「陰影」の表現」の発表が発表されました。
 B室(8106 グリーンホール)は会員の西村醇子さんの司会のもと、瀧川光治さんの「〈いたずらはかせのかがくの本〉における「言葉と絵」・・子ども自身が考えるきっかけとしての「言葉と絵」のつながりの分析・・」、窪田美鈴さんの「桃太郎絵本の視覚表現の変遷?江戸期から明治期における門突破図を中心に?」、鈴木穂波さんの「『食』から見た絵本考」、中川素子さんの「表現としての見返し」、そして運営委員の藤本朝巳と院生雨宮明子さん、富田景子さん、遠藤美緒さんの「英国古典絵本の研究・・ランドルフ・コールデコットとケイト・グリーナウェイの魅力・・」が発表されました。
 研究発表に関しましては、お詫びしなければなりません。今回は例年より開催時期が早かったため、当初、研究発表希望者が少なく、心配しましたが、大会間近になって希望者の申し出がありました。その関係で、事前の郵送物に研究発表のレジメを入れる時間の余裕がなく、大会時にはじめてレジメをお渡しすることになりました。大会の中心である研究発表の方々のお名前と内容を事前に知らせて欲しかったとの要望もあり、ここにお詫びして、今後注意したいと思います。また会員の方々も、
研究発表の申し込み締め切りの日時を早めに確認の上、出来るかぎり、早くお申し込みいただけますよう、お願い申し上げます。また研究発表は近年、さまざまな機材(ビデオ、OHP、ビジュアル・プロジェクター、スライドなど)を使う方が増えていますが、会場によっては全ての機材を用意することができない場合もありますので、学会としては、使用機材は一発表につき一つということでお願いしてあります。今後も、ご協力よろしくお願いいたします。
 研究発表の後、参加して下さった絵本作家の方々によるサイン会が楽しく催されました。飛び入りでサイン会に参加して下さった作家の先生方もあり、ここにお礼申し上げます。
 午後からは、英国ケンブリッジ大学ホマトン校前教授ビクター・ワトソン氏の講演が「英国の絵本研究者と絵本研究方法」と題して行われました。通訳は翻訳家の田中美保子氏にお願いしました。事前に、日本での絵本講読事情や研究の状況を少し説明してありましたが、来日はじめてのワトソン氏は、話にくい講演題を与えられて内容には苦慮なさったようです。また英国で人気のある作家と日本でよく読まれている作家にも微妙にずれがあるので、その点でも講演に用いる画家の選定も難しかったようです。しかし、ワトソン氏は数名の作家の作品を具体的に用いながら、楽しくお話して下さいました。
なお、講演後、電話や手紙で、「内容が古い」「すでに知られたことだった」との意見もありましが、「子どもの本をこのように読み説くことができるのか、すばらしかった」「いい企画だった」との感動のお便りもありました(内容は講演記録をご参照下さい)。プログラムの最後は、三会場に別れて、ラウンド・テーブルでの話し合いが行われました。
R1・・絵本作家研究:赤羽末吉・・では、話題提供者に赤羽末吉のご子息、赤羽研三さん、安曇野ちひろ美術館の学芸員、上島史子さんをお迎えし、コーディネータは藤本朝巳が務めました。
R2・ 絵本表現研究:“もの”としての絵本・・では、話題提供者にグラフィックデザイナーの杉浦範茂さん
、運営委員の安曇野ちひろ美術館、松本猛さんをお迎えし、コーディネータは運営委員の今井良朗さんが務めました。
R3・・絵本読者研究:赤ちゃん絵本 ブックスタート・・では、「子ども読書年」推進会議の推進委員の佐藤いずみさん、運営委員の鳴門教育大学、佐々木宏子さんをお迎えし、コーディネータは、運営委員の世田谷文学館、生田美秋さんが務めました。いずれの会場も盛況で、楽
しい話し合いが行われました(内容は報告文をご覧下さい)。
 なお、今大会は、大会に合わせて、子ども向けのプログラムも実施されました。ワークショップ、・・お化けーション・・は、4月14日(土)の準備会と5月5日(土)の二日間にわたって行われ、近所、湘南地域の子どもたち20名ほどとその保護者、また、笠尾敦司さんの指導のもと、東京工芸大学の学生約20名、運営委員の石井光恵さんの指導のもと、日本女子大学の大勢の学生の協力を得て、たいへん楽しい催しになりました。後日、出来上がった絵本作品を受け取った子どもたちからの嬉しい頼りもたくさん届いています(詳しくは報告文をご覧下さい)
 また今回は、学会はじめての手作り絵本の展示、発表会も行われ、たくさんの方の作品が展示されました。この催しのため、運営委員の笹本純さんが、企画、連絡、準備、展示、片付まで担当して下さいました。この企画も毎回行われることを期待しています。
 なお最後にお願いですが、今回、参加申し込みの葉書が大会前日に届いた方があり、またその葉書での弁当や懇親会の申し込みもありました。急ぎ追加の注文などいたしましたが、連絡をきちんといただけるのはありがたいことですが、もう少し早めに投函下さいますように、お願いいたします。
また食事、弁当の申し込みがあったにもかかわらず、届け出なしのキャンセルが多く、大会委員会にて処理いたしました。今後とも連絡その他、ご協力お願い申し上げます。
 なお、大会前には、フェリス女学院大学の生涯学習課職員の方々には忙しいなか、全国の会員はじめ関心のある方々との連絡その他、たいへんお世話になりました。また前日は、案内図の張り出し、横断幕、動線、案内板の設置にいたるまでご協力いただき、一つの大会の開催に伴う、裏方の仕事のたいへんさを深く感じました。
 また地域の文庫活動などをなさっている方々約25名、また大学の院生、関係大学の学生のスタッフとしての、またボランティアとしての活動にも感謝します。受付から各催しの準備、案内、後片付けにいたるまで、すべてこれらの方々の力によってなされました。さらに、今回の大会のために、大学近辺にある横浜とも社さんは、開催期間中、絵本などの即売会をして下さり、雄松堂書店さんは、英国の貴重図書の展示販売をして下さいました。また大学図書館からは展示コーナーを設置し、本学所有の英国貴重図書の展示をいたしました。関係各位に、ここに紙面を借りて深くお礼申し上げます。