絵本学会

設立趣旨

 今日、絵本表現の場は想像以上に広がっています。考え方や対象の定め方も様々なら、表現性も実に多様です。多様な表現の世界を持つこれらの絵本を、単純な概念で分類することには無理があります。しかし、絵本の形式がそれほど単純でないことが十分承知されながら、一般的には、教育的意味や文学的意味をもって語られることが多いのが実状です。
 絵本は、様々な要素を総合することで成り立っています。内容を表す絵と文、絵と文の表現方法や構成、複製するための印刷、用紙、装丁等々。これらがバランスよく組みあわされて絵本の芸術性やメディアとしての価値を生み出しています。絵本は、デザインとしての造形手法を内在し、視覚言語や視覚コミュニケーションの本質に触れる表現性も持っています。絵本は、一面的な絵画的評価や文学的評価だけにとどまらず、メディアや芸術表現といった分野を含め、もっと多角的な表現の視座からもとらえる必要があります。絵本の評価は、もっと幅広い表現の分野に置かれるべきでしょう。
 絵本を固定した一つの表現形式とみなすだけでなく、表現の位相を把握し解明していくための研究が、新しい視野を拓くものと期待されるのです。それは、絵本学とも呼ぶべきものであり、絵本というメディアを介して研究される新たな学問領域だといえるでしょう。
そのためには、従来の絵本領域の枠組みを越えた、造形学、美学、美術史、哲学、記号学、論理学、教育学、言語学、心理学、文化人類学などの諸科学、また、デザイン、絵画、映画、演劇、文学、漫画その他様々な分野の専門家相互の協力による情報交換、共同研究が望まれます。
 絵本学という独自の学問領域の確立を目ざし、私たちは、絵本学会を設立しました。


 
[さまざまな角度]

  • コミュニケーション手段、メディアとしての『絵本』
  • 絵本の表現性 ・出版
  • 流通 ・老人介護や医療、育児、保育と 『絵本』
  • 造形学、美学、美術史、哲学、記号学、論理学、教育学、言語学、心理学、文化人類学などの諸科学
  • デザイン、絵画、映画、演劇、文学、漫画などの諸分野